Vol.1:絵本「あたまにつまった石ころが」

あたまにつまった石ころが
キャロル・オーティス・ハースト文・ジェイムズ・スティーブンソン絵・千葉茂樹

出版社 光村教育図書
発売日 2002.07
価格?? ¥ 1,470(¥ 1,400)
ISBN?? 4895726304

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 20世紀のはじめアメリカのある町に、「石ころが大好きな」男の子がいました。「石ころなんか集めて何になる」「きっとお前の頭の中には、石ころが詰まっているんだな」と周りの人々に言われても、「うん、そうかもね」と軽くうなずきながら、でも全然めげずに一人こつこつと好きなことに打ち込む男の子。

大人になっても、仕事が忙しくなっても、大恐慌がやってきても、暮らしが貧しくなっても、男の子は家族の生活を支えながら、やはり、石を集め名前を調べ、博物館に通っては石を眺めます。やがてその姿を、博物館の館長さんが目にとめ、博物館の夜の管理人に雇ってくれました。それから‥


 作者は、この主人公の娘さんで、お父さんの人生を愛情深く語っています。
『父ほど、幸福な人生を送った人をわたしははかに知りません』
という最後の文章を読んで、わたしはつい泣いてしまいました。


 「好き」という気持ちは、なんて素敵な力を持っているんでしょう。
でも、その気持ちを大事に育み続けることの難しさを、私たち大人は知っています。
 それを淡々と成し遂げた主人公の強さ、そして幸せを、子どもたちにも感じて欲しい。子どもにとって「将来」は、まだ遠くて漠然としているのかもしれませんが、人生や仕事などについて考えてみるきっかけになるといいな、と思いました。

ティーブンソンの絵は淡い色で優しく描かれ、この物語の穏やかな語り口にぴったりです。


DATA:読み聞かせをするなら、小学校3年生くらいから6年生。
読み時間はゆっくり読んでおよそ12分です。