「ブライディさんのシャベル」レスリー・コナー文 メアリー・アゼアリアン絵 千葉茂樹訳 BL出版          

ブライディさんのシャベル
レスリー・コナー文 / メアリー・アゼアリアン絵 / 千葉 茂樹訳
BL出版 (2005.8)
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『それは1856年のことでした。新天地へ旅立つブライディさんは、
チャイムの鳴る時計でも、陶器の人形でもなく、一本のシャベルをえらびました。』


開拓時代のアメリカに生きた、一人の若い女性の一代記です。
堅実で働き者のブライディさんは、一本のシャベルと海を渡りました。
ブライディさんの人生は、自然の猛威や不運に見舞われながらも、
それにくじけず、ささやかな幸せを積み上げて、穏やかな老後を迎えます。


その時々のエピソードにはいつもシャベルが登場します。
シャベルはブライディさんの人生の名脇役、いわば戦友のようなもの。
物語はそっけないくらいに淡々と語られますが、
読み進めるうちに胸の内がじんとしてきます。
人生の価値とは、お金持ちになることでも、有名になることでもなく、
真面目に働きまっとうに生きること。
現代のわたし達が見失ってしまった当たり前のことを、この本は静かに教えてくれます。
版画の絵も、この力強い物語に相応しく印象的です。黒い線でくっきりと縁取られ、
きれいな落ち着いた色調で、ブライディさんの人生が丁寧に描かれています。


子どもには難しいでしょうか? 
子どもは、本当に大切なことは本能で嗅ぎ分ける力を持っていると思います。
だからこそ時には、親も一緒に味わう気持ちで、
こんな絵本をお子さんに読んであげてください。